宅建士の名義貸しの違法性を徹底解説!リスクと対策とは?

2024年10月10日

宅建の名義貸しって違法?名義貸しをするリスクや頼まれた際の対策についても知りたい。今回は、そのような方に向けて宅建の名義貸しの違法性をテーマに、名義貸しで起こりうるリスクや依頼された際の対策について解説します。宅建の名義貸しについて詳しく知りたい人は参考にしてください。

こんな⼈におすすめの記事
・名義貸しとは何かを知りたい
・名義貸しをした時のリスクを知りたい
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宅建士の名義貸しとは?

宅建士の名義貸しとは、実際に勤務していない不動産会社に専任の宅建士として登録をすることです。

不動産事業者は事務所ごとに一定数の宅建士を設置する義務があり、宅建士の不足した会社が人数不足を補うために宅建士を募集し、勤務なしで専任登録だけを行うケースが実際にあります。

インターネット上の求人情報をはじめ、表立って募集しているケースは基本的になく、役員や従業員の知り合いから宅建士の紹介を受け、名義貸しを依頼するケースが多いです。

また、不動産取引をしたいけど宅建業の免許がない事業者に対して、不動産会社が免許を貸すケースも名義貸しに該当します。

不動産に関わる事業をしていると、まれに不動産取引が発生する場合があり、手数料を目的として、免許を持っていないのに取引に介入しようとする事業者は存在します。

以下では、そんな名義貸しの違法性について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

宅建士の名義貸しは違法

名義貸しを表立って行う事業者や宅建士がいないため、ニュースなどで実際に発覚した場面を見ることは少ないですが、名義貸しの行為自体は違法です。

宅建士の独占業務や宅建業は免許制になっているため、免許を持たない誰かに貸し出すことも、また免許を借りることも許されません。

報酬をもらえるからと安易に名義貸しをしてしまうと、罰金や免許の取り消し、懲役など、免許を貸した側にも借りた側にも重い罰則が下される可能性があります。

名義貸しが違法である理由

先述したように名義貸しは、宅建士の免許を不動産事業者に貸すケースと不動産事業者が宅建業の免許を他の事業者に貸すケースの2パターンがあります。

ここでは、それぞれのケースでなぜ名義貸しが違法であるのか、その理由について解説します。

宅建業の免許を借りる事業者側の規定についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

【宅地建物取引士】宅建業法68条によって禁止されているから

宅建士が不動産事業者に対して名義貸しを行う行為は、宅建業法68条によって以下のように禁止されています。

〇第68条:都道府県知事は、その登録を受けている宅地建物取引士が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引士に対し、必要な指示をすることができる。

➀宅地建物取引業者に自己が専任の宅地建物取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅地建物取引士である旨の表示をすることを許し、当該宅地建物取引業者がその旨の表示をしたとき。

②他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき。

➀の勤務していない不動産会社に専任登録するケース以外に、②の宅建免許を持たない人に名義を貸すケースも宅建士の名義貸しに該当します。

名義貸しが判明してしまった場合、登録を受けている都道府県知事から1年以内の事務禁止処分など、厳しい罰則があるので注意が必要です。

【不動産事業者】宅建業法13条によって禁止されているから

不動産事業者が宅建業の免許を他の事業者に貸す行為は、宅建業法13条によって以下のように禁止されています。

〇第13条:宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない。

②宅地建物取引業者は、自己の名義をもつて、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ、又は宅地建物取引業を営む目的をもってする広告をさせてはならない。

宅建業の免許貸しは不動産取引だけでなく、取引を目的とした広告行為についても禁止されています。

名義貸しが判明した場合、名義を貸した不動産事業者に対して、以下のような処分や罰則があるので注意が必要です。

〇監督処分:「1年以内の業務停止処分」(宅建業法65条)

〇罰則:「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科」(宅建業法79条)

名義を借りる事業者側についての規定もある

宅建業免許の名義貸しは、宅建業法12条(無免許事業等の禁止)によって名義を借りる側についての規定もあり、以下のように定められています。

第12条:第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。

②第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもって、広告をしてはならない。

宅建業の免許を持っていない事業者は、不動産取引はもちろん宅建業に関わる営業活動や広告活動も禁止されており、違反した場合、以下のような罰則を受ける可能性があります。

➀営業活動:「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(または両者の併科)」(宅建業法79条)

②広告活動:「100万円以下の罰金」(宅建業法81条)

名義貸しがバレた時のリスク

違法行為である名義貸しがバレたときのリスクは、先述した公的な罰則や処分だけではありません。

ここでは、罰則や処分以外の名義貸しがバレた時に起こるリスクについて解説します。

宅地建物取引士のリスク

宅建士の名義貸しがバレると最長で1年間、事務禁止処分によって宅建士としての独占業務ができなくなります。

名義貸しが会社からの指示であった場合は、継続して在籍を続けることが可能かも知れませんが、自己判断で行った場合は、懲戒処分の対象となり解雇になる可能性が高いです。

同じ不動産業界に転職する場合、事務禁止処分の期間中は無免許状態と同じであるため、宅建士としての強みを活かすのが難しくなります。

別の業界に転職するケースでも、懲戒解雇になった場合、基本的に理由を聞かれるため、採用されるまでのハードルは高いです。

また名義貸しをした取引において、お客さまとトラブルが発生した場合、損害賠償などの責任を追及される可能性もゼロではありません。

名義貸しは違法行為であり、自分のキャリアや信用に大きな傷をつけるリスクがあるため、軽い気持ちでやってしまわないよう注意しましょう。

不動産事業者のリスク

不動産業界だけに限ったことではありませんが、不祥事が発覚した場合、同じ業界内への噂はすぐに広がります。

お客さまからの信用が大切な事業であるだけに、その信用力が下がってしまうのは大きなダメージです。

悪評が広がってお客さま離れが進むと最悪の場合、事業の存続が難しくなる可能性もあります。

現在、不動産業界においてもコンプライアンスを厳守する動きが加速しているため取引先や、仲の良い事業者から依頼された場合でも、低調にお断りすることが大切です。

宅建業の免許を借りた事業者のリスク

宅建業法の第12条で免許を借りる側の規定があるように、名義貸しは免許を借りることも違法行為です。

SNSが普及している今、噂はどこまでも広がるため、本業に悪い影響が出る可能性は当然あります。

行政の許認可が必要な事業をしている場合、違法行為をしてしまったことで、業務停止や許認可の取り消しなど、事業の継続が難しくなる可能性もゼロではありません。

不動産に関わる事業をしていて取引が発生した場合は宅建業者を紹介するか、もし取引が頻繫にある場合は、自分で宅建業の免許を取得することをおすすめします。

宅建の名義貸しが起こってしまう理由

グレーゾーンと認識されていた一昔前と比べて、宅建の名義貸しは少なくなりましたが、現在でも完全には無くならず、名義貸しが起こってしまうケースはあります。

ここでは、名義貸しが無くならない理由について、宅建士と不動産事業者、名義を借りる事業者の3つの視点に立って解説します。

【宅建士側の理由】名義を貸すだけでお金がもらえるから

名義貸しをする宅建士の主な理由は、出勤する必要がなく名義をただ貸すだけでお金がもらえるからです。

必要な宅建士の数を埋めるためだけに名義貸しをするので、実務はもちろん出勤することも基本的にありません。

宅建士の名義貸しは、3万円から5万円前後が相場であり、名義を貸すだけで他に何もすることはないため、宅建は持っているものの使っていない人にとっては割の良い仕事です。

知り合いに不動産会社の従業員がいる場合、宅建士の免許を持っていると名義貸しの依頼をされるケースがまれにあります。

【不動産事業者側の理由】宅建士の設置義務があるから

不動産事業者は事務所ごとに従業員の5分の1以上、専任の宅建士を設置する義務があります。

宅建士の数が5分の1を下回った場合、不動産事業者は2週間以内に宅建士を補充しなければなりません。

宅建士が不足している状態が続くと、免許の取り消しなど、罰則を受けるリスクがあるので、宅建士の確保は不動産会社が事業を存続させる上で必須条件なのです。

地場の小さな不動産会社の中には、従業員を雇用すると人件費がかかるという理由から、敢えて名義だけを貸してくれる宅建士を募集するケースもあります。

【免許を借りたい事業者側の理由】取引によって手数料を得たい

不動産に関わる事業者の場合、お客さまの取引を手伝うことで手数料を得たいからと名義を借りるケースが多いです。

例えば、ライフプランナーの職業をしていると住宅ローンの相談を受けますが、お客さまが持ち家を売却して新居を購入する場合、宅建業の名義を借りて持ち家の売却を仲介すれば手数料を得ることができます。

不動産は高額であり、一度の取引で得られる報酬額が大きいため、禁止されていると分かっていながら知り合いの不動産会社から名義を借りて、取引してしまう事業者は少なくありません。

宅建業の免許を受けていれば、名義を借りる必要はないため、不動産取引が事業を行う中で頻繁に発生する場合は、必要な手続きをした上で免許を取得した方がよいでしょう。

名義貸しはNG!お願いされた時は断るの一択

宅建士の名義貸しを知り合いに依頼された時の対処法は、お断りするの一択です。

名義貸しは違法行為であり、解説してきたように発覚すると大きなリスクがあります。

自分のキャリアや社会的な信用に傷をつけてしまう場合もあるため、気軽な気持ちで行わないよう注意しましょう。

会社から名義貸しを指示された場合には、断ることはもちろん、転職も視野に入れて活動しましょう。

副業で宅建を活かせる仕事はたくさんある

名義貸しに興味を持った人の中には、宅建を副業に活かしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

宅建を活かしてできる副業は、名義貸しでなくてもたくさんあります。

副業が当たり前の時代になっている現在において、本業では得られないスキルやキャリアを実現する上で、宅建を持っているのは強みです。

宅建を活かした副業に興味がある人は、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。

未経験からできる仕事や隙間時間を使ってできる仕事など、働き方もさまざまなので、興味がある人は、ぜひチャレンジしてほしいと思います。

【副業】宅建を活かしてできる仕事と注意点を解説 | LIFULL HOME’S 不動産転職 (homes.co.jp)

まとめ

今回は宅建の名義貸しについて、違法性やバレた時のリスク、名義貸しを依頼された際の対策について解説しました。

昔よりは少なくなった宅建の名義貸しですが、現在でも中小の地場業者を中心に名義貸しが行われているケースはあります。

名義貸しは違法行為であり、発覚した時のリスクが大きいため、安易に手を出して後悔しないよう注意が必要です。

宅建を副業で活かしたい場合は、最後の解説を参考に別の仕事も調べてみることをおすすめします。

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監修

不動産のOTOMO

不動産ブロガー。30歳未経験で不動産業界に転職し、営業や企画に携わり、宅建も取得。不動産業界の魅力を伝えるため「不動産のOTOMO」ブログ運営を開始し、累計40万PVに到達。LH不動産転職の理念に共感し、不動産業界の魅力を伝えるコンテンツを配信中。 資格:宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

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