宅建って誰でも受験できる?年齢や学歴、実務経験などの受験資格はあるか知りたい。今回は、そのような方に向けて宅建の受験資格について解説します。年齢制限の有無や受験できないケースも紹介するので参考にしてください。
こんな⼈におすすめの記事
・宅建の受験資格を知りたい
・受験できないケースを知りたい
・宅建士になるための要件を知りたい
宅建に必要な受験資格はない
宅建は受験資格がない試験であり、誰でも受験することが可能です。
資格試験の中には、一定の学歴や実務経験を満たしていないと受験できない資格もありますが、宅建は受験資格が一切ないため、学歴や職歴に関係なく誰でもチャレンジできます。
認知度が高く、取得することで就職・転職やキャリアアップに役立つ資格であるため、社会人だけでなく学生からの人気も高いです。合格率が15〜17%と低い試験であり、初心者は難しいと思われがちですが、学習時間の確保と正しい対策ができれば、知識がない状態からでも十分合格を目指すことができます。
年齢による制限もない
宅建は学歴や職歴だけでなく年齢による制限もないため、何歳からでも受験できます。
過去には最年少で10歳、最年長で90歳の合格者がおり、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層が受験することも宅建試験の特徴です。
宅建試験に79歳で合格して、80歳で独立開業した女性もいるなど、宅建は何歳からでも挑戦するチャンスを与えてくれる素晴らしい資格であると言えます。
外国籍の人でも受験可能
宅建は日本に国籍がない外国人も問題なく受験することができます。
問題が日本語で記載されているため、ハードルは高いですが、合格すれば免許の登録もできるため、宅建士として働くことも可能です。
現在、円安の影響で日本の不動産を購入する海外投資家が多く、不動産業界の中でも外国人の雇用が増えてきました。
今後も外国人を雇用する傾向は続くと考えられるため、宅建試験を目指す外国人も増えてくる可能性があります。
宅建試験を受けられないケース
受験資格がなく誰でも受けられる宅建ですが、ルール違反によって試験を受けられなくなるケースがあります。ここでは、宅建試験を受けられなくなってしまう2つのケースについて解説します。
過去に不正受験
カンニングをはじめ不正受験をすると3年間の受験資格を失うので、発覚した試験はもちろん、その後3年間は受験ができなくなります。
宅建資格を取るのが遅くなるのはもちろん、不動産業界で働く人であれば会社にばれる可能性が高く、宅建取得に厳しい会社であれば、かなり居ずらくなってしまうでしょう。
宅建試験の会場には、監視員が数名待機しており、座席スペースも余裕を持たせているため、基本的にカンニングで合格を狙うのは不可能です。
発覚後のリスクを考えるとカンニングするメリットは何1つないため、軽い気持ちで不正をしないよう注意しましょう。
試験当日に遅刻
試験当日に大幅遅刻をしても受験できなくなるので注意が必要です。
毎年13時から15時が試験時間となりますが、13時30分を過ぎると会場に入れないルールになっているので、それを過ぎると実質的に受験資格を失います。
宅建試験は日曜日に実施されるため、道路状況や交通機関の遅れを考慮してできるだけ早めの移動を心がけましょう。
なお、試験は13時スタートですが、試験の説明が12時30分から始まるため、12時には会場に入っておくことをおすすめします。
合格しても登録できないケース
宅建試験に合格すると自動的に宅建士になれると思っている人もいますが、宅建士を名乗るためには試験に合格した後で登録をして、宅建士証の発行を受ける必要があります。
免許の登録にも一定の条件を満たす必要があり、試験に合格するだけで登録ができるわけでもありません。
ここでは、試験に合格しても免許の登録ができない、登録の欠格事由に該当するケースについて解説します。
未成年者
宅建試験は年齢による制限がないため、未成年でも受験できますが、合格しても成年者同様の行為能力が認められていない場合は、免許の登録ができません。
成年者同様の行為能力が認められていない場合とは、法定代理人からの営業許可を受けていないケースを意味します。
なお、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられているため、現在は18歳以上であれば、免許の登録ができ、宅建士として働くことが可能です。
自己破産をしてから10年以内
自己破産をしてから復権を得ていない場合も、宅建士として免許の登録をすることはできません。
復権とは破産手続開始の審判により、失った法律上の権利を回復することですが、自己破産をすると最長で10年間、復権を得るまでに時間がかかります。
復権を得るまでの間も試験自体は受けることができ、合格後の有効期限も特にありません。合格さえ手にしていれば、復権を得てから宅建士として登録し活動することは可能です。
禁固刑以上の罰に処せられた場合
禁固刑以上の罰に処せられた場合も、一定期間が経過するまでは宅建士の登録ができません。
一定期間とは、刑の執行期間が満了するか、時効の成立後5年が経過するまでの期間であり、それを過ぎれば宅建士として登録をすることが可能です。
宅建業法で定められた犯罪により罰金刑に処せられた場合
宅建業法違反、もしくは暴力による犯罪を犯した場合、罰金刑でも一定期間は免許の登録ができません。
罰金刑は禁固刑より軽い刑であるため、原則登録の欠格事由には該当しませんが、宅建業法違反や暴力による犯罪を犯した場合は、例外的に免許登録ができなくなります。
他の資格の受験資格は?
最後に宅建以外の資格における受験資格について解説します。
それぞれ5段階で難易度も紹介するので、宅建と合わせて他の資格の取得も考えている人は参考にしてください。学習時間はあくまで目安です。
FPファイナンシャルプランナー2級(難易度:☆☆)
FP(ファイナンシャルプランナー)2級は、保険や税金などのお金に関する知識を学べる資格です。
金融業界や不動産業界で人気の資格であり、宅建とのダブルライセンスとして取得することで、顧客からの信頼度を上げる効果があります。
〇受験資格
・AFP認定研修の受講修了者
・3級FP技能検定合格者
・FP実務経験2年以上
上記いずれか1つを満たすこと
〇学習時間
200時間前後
〇直近試験の受験者数 2024年1月
【日本FP協会】
・学科:33,648人
・実技:31,907人
【きんざい】
・学科:37,990人
・実技:13,675人
〇直近試験の合格者数 2024年1月
【日本FP協会】
・学科:10,360人
・実技:15,055人
【きんざい】
・学科:3,881人
・実技:3,725人
〇合格率
【日本FP協会】
・学科:40〜50%前後
・実技:50〜60%前後
【きんざい】
・学科:20~30%前後
・実技:20~60%前後(科目ごとに差がある)
マンション管理士(難易度:☆☆☆)
マンション管理士は、住民(管理組合)側の立場でマンション管理におけるトラブルを防止・解決するための知識を学ぶことができ、マンション管理の専門家を目指せる資格です。
類似した資格で管理業務主任者があり、試験内容や試験日が近いことからマンション管理士とダブル受験を目指す人もいます。
〇受験資格
受験資格なし
〇学習時間
500時間前後
〇合格率
7~11%前後
〇直近試験の受験者数 2024年1月
11,158人
〇直近試験の合格者数 2024年1月
1,125人
管理業務主任者(難易度:☆☆)
管理業務主任者は、管理会社側の立場から安全なマンション管理、および住民に対する快適な環境づくりをサポートするための知識が学べる資格です。
マンション管理会社であれば、資格保有者を一定の割合で雇用することが義務付けられているため、不動産管理を行う会社で高い需要があります。
〇受験資格
受験資格なし
〇学習時間
300時間前後
〇合格率
19%~24%前後
〇直近試験の受験者数 2023年12月
14,652人
〇直近試験の合格者数 2023年12月
3,208人
司法書士(難易度:☆☆☆☆☆)
司法書士は主に法務局での登記申請を専門とする資格です。
難易度が高いため合格するのは難しいですが、取得すれば独立しやすい資格でもあります。
〇受験資格
受験資格なし
〇学習時間
3,000時間前後
〇合格率
3〜5%前後
〇直近試験の受験者数 2023年12月
13,372人
〇直近試験の合格者数 2023年7月(筆記試験)10月(口述試験)
695人
行政書士(難易度:☆☆☆☆)
行政書士は、役所をはじめ行政の許可申請を専門とする資格です。
宅建試験とダブルライセンスで狙う人もいますが、宅建合格後のステップアップとして合格を目指す人もいます。
〇受験資格
受験資格なし
〇学習時間
1,000時間前後
〇合格率
10%前後
〇直近試験の受験者数 2023年12月
46,991人
〇直近試験の合格者数 2023年12月
6,571人
測量士(難易度:☆☆☆)
測量士とは土木工事やインフラ整備のための測量業務をするための資格です。
宅建業との関連性が強い資格であるため、宅建と合わせて取得を目指す人もいます。
〇受験資格
受験資格なし
〇学習時間
300時間前後
〇合格率
11%前後
〇直近試験の受験者数 2023年5月
3,667人
〇直近試験の合格者数 2023年5月
460人
土地家屋調査士(難易度:☆☆☆☆)
土地家屋調査士とは、不動産登記に必要な土地・建物の調査と測量をして登記簿謄本における表題部の登記申請を業務とする資格です。
よく司法書士と比較されますが、司法書士は登記簿上における権利部の登記をするのに対して、土地家屋調査士は表題部の登記をする点に違いがあります。
不動産売買をする際には、測量を行うケースが多いため、宅建業との関連性は強い資格です。
〇受験資格
受験資格なし
〇学習時間
1,000時間前後
〇合格率
8~10%前後
〇直近試験の受験者数 2023年5月
4,429人
〇直近試験の合格者数 2023年5月
428人
不動産鑑定士(難易度:☆☆☆☆☆)
不動産鑑定士とは、不動産の価値を評価(鑑定)する専門家であり、不動産価値を公正に評価するための専門知識や技術を学べる資格です。
司法試験や公認会計士と並んで文系の3大国家資格と呼ばれる超難関資格であり、合格までの道のりは大変ですが、社会的に高い価値が認められた資格と言えます。
〇受験資格
受験資格なし
〇学習時間
3,000~4,000時間
〇合格率
・短答式:32~36%前後
・論文式:14~17%前後
※論文式試験は短答式試験の合格者でなければ受験ができません。
※短答式試験の合格者は論文式試験を受験するための権利が3年間与えられるので、論文式試験の受験者は過去3年以内に短答式試験に合格した人も含まれます。
〇直近試験の受験者数 2023年5月(短答式試験)8月(論文式試験)
・短答式:1,647人
・論文式:885人
〇直近試験の合格者数 2023年5月(短答式試験)8月(論文式試験)
・短答式:524人
・論文式:146人
社会保険労務士(難易度:☆☆☆☆)
社会保険労務士(社労士)は、企業の労務関係を専門とする資格です。
宅建との関連性は低いですが、社会保険や労務関係の幅広い知識が身につき、転職やキャリアアップに有利で高い人気があります。
〇受験資格
『①学歴』『②実務経験』『③厚生労働大臣の認めた国家試験合格』
①〜③のうち、いずれか1つを満たすことが必要。
〇学習時間
1,000時間前後
〇合格率
6~7%前後
〇直近試験の受験者数 2023年8月
42,741人
〇直近試験の合格者数 2023年8月
2,720人
中小企業診断士(難易度:☆☆☆☆)
中小企業診断士は、企業の経営コンサルタントを専門とする資格であり、会社経営に関わる全般的な知識を学ぶことができます。
宅建との関連性は低いですが人気のある資格であり、コンサル会社からの需要が高く、独立を目指す場合にも役立つ資格です。
〇受験資格
受験資格なし
〇学習時間
1,000時間前後
〇合格率
・1次試験:20%前後
・2次試験:20%前後
※2次試験は1次試験の合格者でなければ受験ができません。
※1次試験の合格者は2次試験を受験するための権利が2年間与えられるので、2次試験の受験者は過去2年以内に1次試験に合格した人も含まれます。
〇直近試験の受験者数 2023年8月(1次試験)10月(2次試験)
・1次試験:18,621人
・2次試験:8241人
〇直近試験の合格者数 2023年8月(1次試験)10月(2次試験)
・1次試験:5,521人
・2次試験:1,555人
まとめ
今回は宅建試験の受験資格をテーマに、試験を受験できなくなるケースや登録の欠格事由、他の資格試験のおける受験資格についても解説しました。
宅建は受験資格がなく誰でも挑戦でき、必要な学習量と対策をすれば年齢に関係なく合格を目指せます。
不動産業界への就職・転職には特に有利な資格であるため、不動産に興味がある人はぜひ受験を検討してみてください。
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